花の力 飯舘村の人々と共に…

(株)福島花き 取締役 阿部 ひろみの写真

 寝る間も惜しんで働き続け、ようやく豊かな村へと成長を遂げた飯舘村が、ほんの数日間で全滅。原発とは無縁の地であった飯舘村は全村避難となり家族は離散、村民の中には将来を嘆き自殺した方も…まさに悪夢の様な出来事。それ以来、飯舘村農協花き部会から当社に出荷されていた美しい花々は姿を消した。懇意な生産者の顔が浮かぶ。何かしてあげたいという思いで発案した「いけばな教室」だった。花に触れることで少しでも心が癒されれば…しかし長年花を栽培してきた人達に他県の花でいけばなを教えるのは神経を逆なですることになるのでは?などと自問自答を繰り返しながらも、平成23年8月26日に第1回目のいけばな教室(福島市中央卸売市場協会主催)を開催した。何の問題もなかった。久しぶりに再会した参加者達は近況を報告しあい、皆楽しげに花をいけた。異常な状況で張り詰めていた緊張の糸が、花に触れることで一時ゆるんだ様だった。無意識に笑顔が生まれていた…。
 震災直後、先の見通しなど全くつかない状況で始めた飯舘村復興支援イベントではありましたが、翌年も続けられ、今年度で3年目となります。その間、数名の飯舘村花卉生産者の方々は市内に土地を借り、ハウスを建て、再び花の栽培に取りかかりました。気候条件に恵まれた飯舘村とは違い福島市は盆地、夏の温度対策は重要な課題となるでしょう。手さぐりの状況は当分続くでしょうが、地元市場として出来る限りのお手伝いをさせて頂きます。福島の真の復活まで共に。