食と流通の変化

真柴三次氏の写真

 昭和の時代、産地市場としての福島市場は、活気に溢れた県都、そして、奥羽線の分岐点として東北、北海道への食糧基地であり、作れば売れる時代でした。その後、産地は移動し、食事は胃袋をいっぱいにする時代から、目で楽しみ、そして味の追求に変わりました。家庭では核家族化が進み、女性の社会進出、高齢化などにより外食が多くなり、コンビニでの青果物の販売やスーパーでの個単位販売、素材そのものから加工食品の増加などに変化してきました。
 そして、2年前の3・11東日本大震災、東京電力福島第一原発事故の発生です。以来、全国的に青果物離れが起き、売り上げが落ち込んでしまいました。
 量販店での特売は保存冷凍食品などが多く、惣菜や弁当コーナーも広くなりました。そして農協、生協、他社などの加工品、宅配等が多くなっている現在、我々産地市場として今後どうあるべきか、考え、行動しなくてはなりません。
 やるべきことは2つ。その一つは産地市場としての採りたて青果物の美味しさのPRです。もう一つは、収穫から食卓に届くまでの時間の短縮と鮮度の保持です。そこで自社で産地づくりをし、契約栽培を行い、産地市場として農産物の『おいしさ』をPRするほか、市場内コールドチェーン化のため、中温帯保冷庫を設置いたしました。これにより、低温輸送を可能にし、採りたてのままのおいしい、鮮度のある『パリパリ』した農産物をいち早くご家庭に届けることができるようになりました。
 今後は、福島県産の「安全・安心・新鮮」そして、おいしい農産物をご家庭に届けるため、より一層の努力をしてまいります。
 これからの夏秋野菜は、キュウリ、インゲン、トマト、ナス、アスパラなど、果物は桃、ブドウ、梨、リンゴ、柿などです。今年も味は良いようですので、食べてみて贈答にもお使いくださいますようお願いいたします。

平成25年7月9日