大震災・原発事故から4年4か月を迎えるが…

石本朗の写真

 あれから、まもなく4年4か月となります。

 市場開設者である福島市の『市場中期経営プラン』では、平成29年度までに大震災・原発事故前の取扱状況に戻す数値目標を定めています。

 しかし、直近平成26年の取扱いは、青果部・水産物部・花き部の三部平均で、震災前比で約2割落ち込んでおり、いまだ戻る見通しは立ちません。

 こうした状況から、新たな市場活性化を目指し平成26年4月1日に地方卸売市場に転換し、同時に指定管理者制度を導入いただき、私ども場内事業者が指定管理者として円滑で効率的な管理運営を担ってまいりました。併せて払拭できない風評への対策事業や買って食べること、花を飾ることが生産者を守り本県再生・復興に欠かせないことを市民・消費者に伝える地道な活動に取り組んでまいりました。

 残念ながら、消費者庁の意識調査結果では、「基準値内であってもできるだけ放射性物質の含有量が低いものを食べたい」、食品の生産地を気にする理由として「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」、また、低線量リスクについて「基準値以内であっても少しでも発がんリスクが高まる可能性があり受け入れられない」等の数値が、これまでの3回調査では下がってきていたものが昨年10月の第4回調査では逆にはね上がり、本年2月の第5回調査で若干下がったものの第3回調査結果数値を上回っています。

本県産と他県産のものが並んでいれば敬遠される、また、売れないから値が下がる等、風評は根深く「安全」と「安心」の捉え方は本当に難しいと感じています。

 一方、本市場は開場から43年となり、老朽化も課題です。人口減少社会にあって、今後の帰還推進や定住促進には何よりも食の安全・安心の確保が重要です。その拠点となる市場の再整備は喫緊の課題であります。

 また、東電の営業損害賠償についても卸売市場の機能と役割が十分に認識されていないと感じています。流通・サービス業で括れるものではなく農林水産業と一体であり「損害が現にあるうちは賠償も継続する」が原則だと考えます。

 このように、あの日から4年4か月が経とうとしていますが抱える課題は変わりません。

 本年も早いもので折り返しとなりました。様々な課題を抱えながらも、私どもは「攻めの姿勢とスピード感」を持って、使命である市民・消費者の台所を、そして、豊かで潤いのある生活を、自信と誇りを持ってしっかりと守ってまいります。

 

平成27年7月1日